皆さんこんにちは!歯科医師をしている伊藤将吾と言います。このサイトでは、歯科医師の立場から、食べること・噛むことの重要性、お口に関する様々なお悩み・疑問などにお応えして、少しでも皆さんの人生のお役に立つことを使命として情報を発信しています!
口は全ての始まり!(呼吸も、食事もここから始まります!)口は人生を変える!!を合言葉に情報をお伝えしていきたいと思います!宜しくお願いします!
記念すべき第一回目ですが、(私の記念ですが(笑))色々お伝えしたいことはあるので本当に何を書こうかと悩んだのですが、やはり一番根本的なことである、”食べる”ことの人生における重要性についてお話したいと思います。
著者:プロフィール
伊藤将吾
歯科医師
口腔外科認定医
ケアマネージャー
食事が食べられなくなる?
突然ですが、皆さんはご飯が食べられなくことを想像できますか?
ある日突然食べたいものが食べられなくなる….
そんな自分の姿を想像できるでしょうか?
恐らくほとんどの方は頭の片隅にも考えたことはないと思います。
「そんなこと自分に関係ない。」「食べられないなんてありえない(笑)」
そんな風に考えてはいないでしょうか?
確かに、今すぐにそんな状態にはならないかもしれません。しかし、あなたが気づかないうちに少しずつそんな状態に近づいているかもしれません….
歯を失うとどうなる?
例えば歯を1本失ったとしてもまだ27本もある!(歯は親知らずなどを除くと28本あります)
そう考えてはいないでしょうか?
しかし、その歯を失った理由は何なのでしょうか?ほかの歯は本当に大丈夫なのでしょうか?
歯を失う理由は様々ありますが、歯周病によるものは40%弱と一番多い原因の一つです。(歯周病についてはまたお話もしたいと思います。)しかし、歯周病は歯1本のみに起こることは少なく、ほとんどの場合、口全体、少なくとも数本の歯にわたって影響が及びます。
また、1本の歯を失うことにより、口腔内は急激に今まで保っていたバランスが崩れていきます。1本の歯がなくなるということは、その歯が支えていた力を。他の歯が負担するということです。そして、無くなった歯を作るためには、他の歯を削ったり、神経を抜いたり、思った以上に他の歯に負担をかけます。(インプラント等他の歯に負担をかけない方法もありますが)
そして1本だと思っていたら、2本….3本….4本….と次々に歯を失っていくのです。気が付いたら歯が無くなっていた!….ということも十分に考えられます。
個々の細かい話はまた機会があればしていきたいと思います。ここで知っておいて欲しいことは、皆さんが思っている以上に歯を失う可能性は大きいということです。
さらに、例え歯を失っていなかったとしても、ある日突然食事がとれなくなる….そんな事態も起こりえます!
摂食嚥下障害
「摂食嚥下障害」という言葉を聞いたことはあるでしょうか?
*摂食嚥下障害については、今後また詳しくお話したいと思います。
簡単に言うと、体の何らかの機能が低下して、食事が上手くとれなくなることを言います。
この原因は本当に様々なものがあり(脳卒中、認知症、パーキンソン等)、ここでは省略しますが、皆さんが思っている以上にかかるリスクは高いのです。
そして、摂食嚥下障害になるとなにが問題になるか?です。
またお話は変わりますが、皆さんは日本における死因の原因を御存じですか?
1位は悪性新生物(癌)です。
2位は心疾患
3位 老衰
4位 脳血管疾患
そして5位は….肺炎です。さらに肺炎の中で高齢者に多いのが誤嚥性肺炎と呼ばれるものです。
誤嚥性肺炎とは、嚥下機能が低下した結果、嚥下が上手くいかず、誤って気管に食べ物が入り込んでしまい、その結果肺炎を引き起こしてしまうものです。
嚥下機能障害が起こるとこの誤嚥性肺炎が引きおこる可能性が飛躍的に高くなってしまうのです。
運よく誤嚥性肺炎から回復できたとしても、ここでもう一つ問題が立ちはだかります。
それは…….胃瘻です。
胃瘻とは、胃に管をつなぎ、そこから胃に直接栄養を送り込む手段のことです。
胃瘻になると口からは何も食べられなくなことが多くあります。
誤嚥性肺炎の場合、お医者さんの診断として、
誤嚥性肺炎=嚥下機能低下=口から食べることは危険
という方程式が成り立ちやすいです。その結果、”胃瘻造設”という結果になるのです。
間違ってほしくないのは、胃瘻自体は別に悪いことではないということです。
本来胃瘻とは永続的なものでなく、一時的なもであります。胃瘻造設前に嚥下機能評価を行い、また胃瘻造設後も定期的に嚥下機能評価を行い、嚥下機能の改善が認められた場合、胃瘻から経口摂取へと戻ることもあります。しかし、現在の日本では、十分な嚥下機能評価を行わないまま胃瘻が増設され、その後は再び嚥下機能評価を行うことなく、死ぬまで胃瘻のままということが、本当に多くあるのです。
そして患者さん本人の意思に反して、死ぬまで物が食べられなくなる….
そんなことが当たり前に起きています。
人生100年時代と呼ばれる時代が来ていますが、その長い人生を、皆さんは有意義に過ごせるでしょうか?好きなものも食べられず、ましてや何も食べらない状態で、ただ管から栄養を与えられ、数十年生きていく姿を想像できるでしょうか?私は食べることが好きで、食べるということが、生きる意味の何割かを占めています。それが取り上げられるということは、すなわち、生きる意味を取り上げられるということです。
*嚥下の機能評価の方法や、嚥下機能低下に対するリハビリテーションの方法等については、今後もっと詳しくお話したいと思います。
今回は、食べることの重要性、そして今は当たり前と考えているそのことが、将来的には当たり前でなくなるかもしれない、そのことを皆さんに知って欲しいと思います。
現在は医療技術が発展してきています。まだ歯がしっかりと残っている方はもちろん、例え歯が無くなっていても、しっかりと噛めるようにしていくことは可能です。
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しかし、”口から食べたい!”というはっきりとした意思をもち、明日からでも、歯を残すために少しでも努力をしていかないと、この様な事態になるのは、あなた自身かもしれません。
この記事を読んで一人でも多くの方が、口腔の重要性に気づいてくれたら幸いです。
また随時、皆さんの役に立てる記事を配信していきます。
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そしてある日突然好きなものが、好きなように食べられない!!
そんなことになることが実際にあるのです。
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